アシカセ

何年か前
職場の人が仕事中に倒れた

その人は彼に意地悪をしていた人で
王様気取りをしていた人

いつもずるくて調子が良くて

まじめに仕事をしている人に対して

「あいつはいつも適当なやつだ」と吹聴していた

私は彼がどんどん追い込まれていくのがつらくて
時々こっそり励ましていたつもりだったが
そんな余裕すら彼にはなかったのかもしれない

彼はますます仕事をするようになった

そんな中での出来事だった

王様が倒れて
救急車を呼んだ

王様の家族に連絡を取るために
やむを得ず王様の携帯電話を手に取った

画面を見た瞬間凍り付いた自分がいた

仕事中なのに
休憩時間じゃないのに

王様は彼女に分刻みでメールを送っていた

それもかなりプライベートな
下ネタ満載の
メール送信履歴がそこにはあった

スマホを使い慣れていない私は余計にあせり
電話帳を開くことができなかったので若いスタッフにとりあえず交代してもらった

私は王様に付き添い救急車に乗ることになった

その間彼は他のスタッフと一緒に
王様のことを気遣い
その時できることを一生懸命してくれた

あんなにいじわるされてたのに

この人はちゃんと周りを見てくれる人なんだと
改めて感じて

そしてほっとした

病院で私は王様のご家族に状況を説明し

職場に残っている彼に連絡をした
私が財布を持たずに病院に来たことを察して迎えに来てくれた

車の中で何を話したのかあまり覚えていないけど

今後仕事の流れがどう変わるのかわからない不安と
今彼と二人きりで車に乗っていることの嬉しさが背中合わせになっていて

不謹慎とは知りながらも

その時間が宝物となった

彼はきっと自分がすべきこととして
仕事の一環として行動したにすぎないのだろうが

彼がしばらく王様の餌食になることがないのだと思うと

うれしかった

タグ：職場恋愛 片思い

あたしはここに逃がすことにした

今日からここに自分の思いを逃がしていくことにした。

実は４年ほど前から好きになってしまった人がいる。

けれど、それは恋をしてしまったという表現しかできない想いである。

きっと

私自身が

生きてきて疲れていて

逃げたくなった時に彼に出会ったのだと思う。

だから私の手を引っ張って連れ出してほしいという夢のような思いが芽生えてしまったのだ。

だが実際は

彼には長年好きな人がいて

独身生活を横臥していて

私のはいるスキなどどこにもない。

唯一接点があるのは職場。

職場のデスクが向かい合っていて

仕事上コミュニケーションを取る必要があり

そんな環境も私の心に影響している。



だから、せめて気持ちだけでもどこかに逃がしてしまいたかった。

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